第4章 シュプリーム
「あん時…?」
「俺が辞めるって言い出した時…とか…去年の、記者会見のときとか…」
「おーちゃん…」
「相葉ちゃんは、俺のことを大事に思ってくれてるんだなあって…凄く、凄く…感謝した」
ちょっと胸にくっついてるおーちゃんの額が熱くなった。
「それだって、”やってやろう”って思ってやったことじゃないでしょ?」
「う、うん…」
単純に…落ち込んでるおーちゃんを支えたかった…
あんな引きつった顔してるおーちゃんを…暗い気持ちになって自分を責めてるおーちゃんを、励ましたかっただけだ。
「…多分だけど…それは、相葉ちゃんが俺を大事にしてくれてるんだなって。そう思ったんだ」
ぐりぐりっと額を胸に押し付けると、おーちゃんの腕が俺の腰に回しかけられた。
猫背の折れ曲がった格好で、俺のこと抱きしめるみたいな感じになってる。
「おーちゃん…」
「だから俺も、相葉ちゃんのことが大事なの。相葉ちゃんがそうしてくれるから、大事なの」
「…うん…」
「それは、俺にとって自然なことだし、多分相葉ちゃんにとってもそうなんだって、俺、勝手に思ってる」
すごい自信満々。
おーちゃんがこんなに断言するのは、珍しいことで…
それくらい…俺のこと…
「だから、俺に気を使う必要…ないの」
「うん…うん…」
「わかった?」
「うん…」
鼻の奥が、ツーンとして…
涙が出そうになった。