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微睡むお茶会【魔法使いの約束】

第1章 レモンティーの行方【ミスラ】冷→甘




「では、ミスラが試した方法を先に教えてください。それ以外の方法を考えますから!」
私の提案を少し面倒そうな顔つきで聞いていたが
「…アイマスクや抱き枕は試しました。それはもう色々と。…あと草原や花畑が気持ちよく眠れそうだと聞いて行ってきました。勿論眠れませんでしたが」
「そうですか…」
聞けば聞くほどミスラが不憫に思えてきた。

「あ、羊を数えると眠くなるって言うんで牧場にも行きましたね。俺には効果ありませんでしたけど。あとはハーブ類も効きませんでした」

「本当に色々試したんですね…」
ミスラの切実さが十分過ぎるほど伝わった。
何とか力になってあげたいと思う気持ちが更に湧く。


「じゃあ、これはどうでしょう?ミチルが今、薬草の勉強をしているんですが眠気を誘う薬草があるか聞いてみましょう!ミスラの知らない薬草があるかもしれません」
「はあ、なるほど。分かりました」
私の提案を驚くほどすんなりと受け入れてくれた。

「あとは…そうですね、音楽を聞いたり」
「音楽は駄目でした。西の魔法使いが歌ったり楽器を弾いたりしているのを聴きましたが眠れませんでしたね。」
きっとラスティカのことだろう。よく談話室のピアノで素敵な音を奏でている。
「そうですか、残念です…。あとは、私が子どもの頃なんかは本を読んでもらったり添い寝してもらった、り………」
「・・・・・・・・・」
添い寝という単語を口に出してしまってから恥ずかしさが込み上げてきた。

「ま、まぁミスラは子どもではないのでこの方法は駄目ですね!」
慌てて引きつった笑顔で向かいのミスラを見た。
ミスラもこちらを見ていて
「本も添い寝もまだ試してないのでお願いします」
相変わらず何でもないことのようにお願いされてしまった。

「いや、あの…本は良いですよ。でもさすがに添い寝は…。さっきも言いましたが緊張しちゃうので」
「添い寝であなたが寝る必要はないんですから俺は気にしませんけど」
「私が気にします!」
ミスラの発言は色々とおかしい。
本当に私の事など何も気にしないんだろう。

「あなたがまず俺に慣れれば良いんじゃないですか」
「え?」
「何かっていうと緊張しますよね。あなた」
「!?それはミスラが突飛なことばかりするからです!」
深夜にも関わらず大きな声を上げてしまった。
慌てて口を抑えて声のボリュームを下げる。


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