第3章 怪我
「ほらこれでも飲んで大人しくしていろ。肘ついて傷口心臓より高くしとけよ。」
ふわっと紅茶の良い香りがしたと思ったら目の前にはマグカップ。
いつも紅茶はストレート以外認めねぇとか言ってるのに私が好きだからミルクも入れてくれている。きっとお砂糖も入ってる。
甘やかされていると自覚しながらリヴァイに夜ご飯をデリバリーにしても良いか聞けば怪訝な顔をされる。
「お前俺がカレーもろくに作れねぇと思ってんのか?」
「え、いやそんな事ないけど!え!?作ってくれるの!?」
じゃぁ途中まで仕込まれてるこの材料はどうする気だと聞かれればまぁ確かに捨てるのは勿体ないけど…
まさかリヴァイが作ってくれるなんて!
これは、そう!怪我の功名ってやつだ!!
「目玉焼き乗せて欲しい!」
「調子に乗るな」
そんな事言ってちゃーんと乗せてくれるんでしょ?
今日のリヴァイが特別優しいって分かってるもん。
その後出てきたカレーが私が作るカレーよりもめちゃくちゃ美味しくてルーも食材も同じはずなのにどういうことだとリヴァイに聞いたら隠し味にお前の肉片でも入ったかもなと言われてゾッとした。
「あーお風呂どうしよう」
「さっき沸かしてたじゃねぇか」
いや、うん。お風呂掃除はごはん作り始める前にやったけど。鏡がまだ汚れてるとか指導を受けながら洗いましたけれども。
「頭洗ったり、体洗ったりコレじゃ大変そうだなって。」
「あぁ。心配するな。やってやる。」
…………今なんと??
「お風呂だよ?」
「だから?」
いやいやいやいや!無理!無理すぎる!
リヴァイに洗ってもらうくらいなら今日はお風呂パスする!!
お風呂に入らないという選択肢がきれい好きなリヴァイに許される筈もなく、あれよあれよという間に手にビニールを被せられ、服を脱がされ、なんならリヴァイまでさっさと脱いで一緒にお風呂、しかもリヴァイに頭から爪先までしっかり洗われるというあり得ない初体験をしてしまった…。
「…………恥ずか死する」
「お前ホントに馬鹿だな。」
わしゃわしゃとバスタオルで髪を拭いてくれるリヴァイの手は優しいのに言葉は辛辣だ。