第3章 怪我
明日はリヴァイと久しぶりに休日を過ごせる。
お互い不規則なシフトの仕事をしているため休みが一緒になる事は珍しく、久しぶりに明日は1日中リヴァイと過ごせると浮かれていた。
「いったっ!」
瞬間的な鋭い痛みにやってしまったと手元を見るとジワァッと浮き出る鮮血。
「おいどうした。ッチ」
すぐに様子を見に来てくれたリヴァイは一瞬で眉間にシワを寄せ私の左手をつかんだ。
「テメェがっつり切りやがって、なに考えてやがった」
言えない。明日の休日が楽しみすぎて料理中に浮かれまくっていたなんて言えない。
「えへへ、ごめんちょっと考え事を…」
「包丁持ちながら考え事が出来るほど器用になってからやれ。洗うぞ。」
よりにもよってお肉を切っている所だったので傷口ごと手を石鹸で洗わなければならず悲鳴をあげたがリヴァイが手早く手伝ってくれた為に悲鳴は3秒で済んだ。リヴァイの顔がちょー怖い。
正直自分ではあまり見ていない、というかしっかり切ってしまった感触に怖くて血を見た瞬間から目をそらしているのだが「がっつり切った」というリヴァイの言う通り傷口は深いらしくドクドクと熱を持ったように痛む。
リヴァイはキッチンに置いてあるスツールに私を座らせるとすぐに救急箱を持ってきて手当てをしてくれる。
「痛い痛い痛い!!」
「うるせぇ押さえておかないと血がとまんねぇだろ。ちょっと手あげておけ。」
ガーゼをあてた傷口をぎゅぅっと押さえられて目に涙が浮かぶ。
片手だけ持ち上げられて「はい、先生!」みたいな格好になってるけどそれどころじゃない。
「はぁ、泣くな。じきに止まる。」
片手でぐいっと涙を拭かれポンポンと撫でられる。
傷口ではない別の、心臓のあたりがきゅうっとなる。
リヴァイはやっぱり優しい。怖いけど。
5分ほど経ってからガーゼを新しいものに替えてきつめにテープを巻いてくれた。
「え、ガーゼ?もう絆創膏で良くない?」
「駄目だ。お前傷口見てないのか?見せてやろうか?」
「ごめんなさい。ガーゼでお願いします。ありがとうございます。」
呆れた表情のリヴァイにもうあっちで座っとけとシッシッというジェスチャー付きでキッチンから追い出された。
夜ご飯どうしよう、ピザとか頼むのでもいいかな、リヴァイ嫌いかな?