第7章 卒業おめでとう【不死川実弥】
浴室からシャワー音が聞こえる…。水、出しっ放しにしてたかな…?
目が覚め、ぼんやりした頭でそんなこと思って…違う!そうじゃない!と勢いよく身体を起こした。
『ーーっ、!…』
お腹の奥が…下半身が少し怠くて、起き上がるのが少し躊躇われた。
先生…じゃなかった。…実弥さん…と、しちゃったんだ…。
服…着てる。着させてもらったんだろうか?
あれから私、寝てしまってたのかな…?
「起きたか?」
タオルで身体を拭きながら、部屋に戻ってきた実弥さん。相変わらず上半身は裸で…やっぱり目のやり場に困ってしまう。
『…すみません、寝ちゃってました…?』
ベッドに腰を下ろし、私の頬を撫でてくれる。
「意識飛ばすほど、気持ちよかったかァ?」
意地悪っぽく笑って、額にチュっと軽くキスをした。
『!!、よ…良かった…です…はい。』
真っ赤になって俯いてしまう私を抱き締めてポンポンと頭を撫でられる。
「…ちょっとやり過ぎたな。身体、大丈夫か?」
『ん…。大丈夫、です。…服も、シーツも替えてもらって…ありがとうございます…。』
「…大丈夫なら、それで良い。」
ずっと…この腕の中に居たい。…でも、2週間後には引越しだ。そんなに遠くに行くわけじゃないけど、思いが通じ合えたのに…離れ離れになるんだ。
ぎゅっと、私からも抱きつき…その腕が僅かに震えている気がする。
「…引越し、手伝うからな。…たかだか車で1時間半くらいの距離じゃねえか。いつでも会える。」
物理的な距離が、心の距離にはならないと安心させるように話してくれる。
私を抱く腕に少し力がこめられる。…きっと少なからず不安なのはお互い様なんだ。やっと繋がりあったこの思い。…ゆっくり、育てていきたい。
『…うん。帰ってくる。実弥さんのところに』
「あぁ。…お前が帰ってくる場所は俺のところだからな」
絡む視線に、吸い寄せられる唇。
一緒にいよう。…同じ時間を過ごしていこう。
きっと色んな事がこれからたくさんあるだろうけれど、私たちなら…大丈夫だって思えるの。
でも、今は…ーー。
何も考えず、優しく暖かい大きな腕に抱かれて…朝まで眠ってしまいたい。