第6章 朝日が昇る【竈門炭治郎】
「好きですっ!紗英さん!!」
『…ありがとう、ございます…。』
唐突に好きだと伝えてくる男…竈門炭治郎。
このところ、毎日毎日毎日…同じ事を言ってくる。
先日、那田蜘蛛山の一戦後行われた柱合会議、鬼となった妹を連れる鬼殺隊士、竈門炭治郎は詮議にかけられ私も鳴柱としてその場に同席していた。
皆が即刻処罰せよと言う中、お館様は竈門炭治郎と妹・禰豆子を容認。
不死川が禰豆子を三度刺し、自らの稀血の血を差し出すも禰豆子は喰らいつく事なく耐えてみせた。
私を含む柱全員、その光景に目を見張ったのは言うまでもない。
冨岡が口を挟んだとはいえ、竈門くんが不死川に一発頭突きをくらわせたのもなかなかだった。
各々腹の底で何と思っていようが、禰豆子の存在は公認となり、竈門くん、冨岡は処罰なしとなったのだった。
私は、不死川や伊黒のように明から様な嫌悪感はなく。この竈門炭治郎が今後どのような躍進を見せるのか。それが楽しみだと思っていた。
しのぶの屋敷へと引き取られ、療養を経て現在機能回復訓練中だとか…。それは良いけども…、私に好きだ何だと言う前にする事あるだろう竈門炭治郎!!
「あら?炭治郎くんはよく訓練に取り組んでいますよ。」
『…そうようですね。』
しのぶの屋敷の縁側で、竈門くん及び同期の金髪と猪頭が庭で鍛錬しているのをお茶を啜りながら眺めている。
「彼も人並みに誰かを好きになったりするんですねー。」
『そうなんですねー。』
「棒読みですね。興味ありませんか?」
『ありませんねー。姉を慕うくらいの気持ちだと、思ってます。』
「そうじゃないと思いますけどね〜」
しのぶはニコニコして否定している。カナエが亡くなり、蝶屋敷を継ぎ、柱になり…しのぶはいつも笑っている。…カナエのように。それが時々、私は心配になってしまう。煮え沸るような怒りを隠し、笑うしのぶが。
…まあでも多分、今は…
『…面白がってますね、しのぶ…』
「はい、紗英さんの困ってらっしゃるお顔は初めて拝見しました!いつも、我々柱をも引っ張っておられる紗英さんが年下の男の子に迫られて…良いもの見せて頂いてます。」
にこやかに話すしのぶを見て、私は深く深く溜息はつき…一口お茶を啜った。