第16章 そんな君さえ愛おしい【煉獄杏寿郎】
「紗英、今日は土産がある!」
土産というワードについつい嬉しくなって、なに〜?と無邪気に近寄ったのが…多分、運の尽きだった。
『杏寿郎…これは、お土産…なのかしら?』
「ああ!土産だ!」
もの凄い満面の笑みで土産だと言い切る彼。
帰宅早々にテーブルの上に並べられた…所謂、大人のおもちゃ達…と手錠。
『……こういう、趣味があったなんて知らなかったわ…』
「いや!別に趣味はない!」
……ないんだ。
嬉々として出してくるから、そういう癖があるのかと…。
『…つまり…最近、マンネリ気味という事かしら?』
「いや、そういう訳ではないが…紗英のもっと乱れた姿を見てみたくてな。…ダメだろうか?」
シュン…と、犬だったら完全に尻尾も耳も下がってしまっているようなテンションで、目で…見つめないで欲しい!!
『っ、…ダメってわけじゃ…』
「そうか!では早速!!」
それはもうにこやかに笑って、私を抱き上げ寝室へと向かっていく。
勿論…「お土産」も忘れずに持って…。
寝室のベッドに下されたかと思えば、待ち切れないとばかりにキスが降ってくる。
『!?…っ、…んん…ぅ…ふ…』
唇を割り、舌が口内を這いずる感覚でさっきまで全くそんな気じゃなかったのに…直ぐに熱が上がってゆく。
私の身体はいつから…杏寿郎に触れられただけで、いつでも準備万端になってしまう身体になってしまったんだろう。
キスの合間に漏れる吐息一つさえも、私の熱を上げ…お腹の奥を疼かせる。
「…っ、…良い顔だな。…潤んで、濡れて……その気になったか?」
唇を離し、妖艶に微笑みながら聞いてくる。
きっと…この後の行為に…お互い、緊張している。…そして、それ以上に興奮してる。
『ぁ、…ん…。なった……』
「なによりだ!」
今度はにこやかに笑いながら、私の服をテキパキと脱がしていくのだった。