第12章 目印を探して【我妻善逸】
女の子って皆、可愛いよね。
いい匂いするし、抱き締めれば柔らかくて本当大好き。
でも、誰彼かまわずってわけじゃない。
禰豆子ちゃんに出会ってからは、もう禰豆子ちゃんしか見えない。
…まあ…、時々フラフラしてるように見えるだろうけど、禰豆子ちゃん一筋。
「いい!!自分で飲めるよ!!ほっといて!頼むからっ!!」
『ダメです!しのぶさんからキツく言い渡されてますから!飲んでください!!』
先日の戦いで負傷し、またしのぶさんの屋敷で世話になってるわけだけど……それはもうこの際、良いよ。
良いけど…。
俺、全然覚えてないんだけど…どうやら寝ちゃってる間に…隊士の女の子を助けたらしい。
そりゃね、女の子だもん。助けるよね?
目が覚めてから…それはもう甲斐甲斐しく世話してくれるんだけどさ。
…こういっちゃなんだけど…失礼なのはわかってるけど、敢えて言わせて。
あんまり可愛い子じゃない!!!
最近、しのぶさんとかアオイちゃんとか…特に禰豆子ちゃんとか!!可愛い人が周囲に多いせいか、この…紗英ちゃんの容姿を『可愛い』とは言い表せない。
瓶底眼鏡の奥にある瞳は小さくて…、色が白いからってのもあると思うけど、そばかすが目立つ頬。
俺は…『可愛い子』に好かれたいの!!!
いやどんなに『可愛い子』に好かれたとしても、俺は禰豆子ちゃんが一番だけどね!!
「わかった!!飲むよ!飲むからもう向こう行っててよ!」
『……見届けるまで此処にいます。』
なんでなんだよおおおお!!!?
微笑ましく見てないで助けろよ炭治郎おおお!俺が困ってるの匂いでわかってんだろお!!?
とんでもねえ炭治郎だ!!全く!!!
…この状況から一刻も早く脱したくて、苦い…とてつもなく苦い薬湯を一気に飲み干した。
「いやぁぁああ!!苦い、苦い苦いいいいぃ!!!誰だよこれ作ったやつ!!とんでもねえよ!!」
『…しのぶさんです。』
「冷静に言わないでくれる!!?もう飲んだんだから、いいでしょ!!?はい!じゃあね!!ほっといてね!!」
『次は夕食後ですからね。…じゃあ…私はこれで…。』
ペコっと頭を下げて、やっと病室から出て行ってくれた。
途端に大きく溜息が溢れる。