第4章 ぬくもり
で
店の戸を開ける直前、急にミキが後ろに隠れて。両手でぐいぐい背中押されて。
「?なに?」
「いいから。開けてっ」
「??」
ガラガラガラ…
ミキ「ただいまぁ~♪」
女将「遅いッ!!!!!」
大「ヒィッ!?」
…なるほど。
盾ねっ?(笑)
「だぁーって。大ちゃんがデートしたいって言うんだもーん」
「えっ」
「まぁた…この子は!調子いいこと言ってっ!割り箸はっ?」
「はーい、ちゃんと買ってきたよー」
「サッサと手ぇ洗って!そんな短いの履いてたらまた風邪ひくっ」
「はぁ~い」
背中にひっつかまってたミキが、笑いながら離れてった。
「…」
急に軽くなった気がした。
ミキが残してったぬくもりの代わりに、いろんなもんまでふわわ~って。飛んでった感じ。
…何だ。
こういうのに飢えてただけなのかな、俺。
一人でいるのも結構スキなんだけど、単純に
人のぬくもりっていうか
なんかこう、あったかい感覚っていうか
「ごめんねぇ、大ちゃん。付き合わせちゃって」
「ううん。楽しかったし」
「そうかい…?あ、じゃあ。一杯好きなのいいよ。店のおごり」
「エ♪」
女将さんの太っ腹スマイル
この超ぬっくぬくの空気
…ま、ホントにあったかいんだけどね、店ん中。料理とかしてるから?