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Amor vincit omnia__愛の勝利

第9章 共に歩こう(土方十四郎)



沖田の姉の旦那になるはずだった貿易商の男が闇取引をしていると聞いた土方は誰にも告げずにその男の元へと向かった。土方自身、真選組鬼の副長としてでもあったが、沖田の姉─ミツバとの過去を清算する為に。男として惚れた女には幸せになって貰いたいと思っていたのだが相手が悪かった。なんせ相手は闇取引で武器を密輸し利鞘を稼ぐ悪党。昔、武州を旅立つ前、ミツバからの愛を拒否した過去。それもあってか土方は沖田にも近藤にも告げずに蔵場の元へ向かった。そんな土方の考えなど近藤にはお見通しで。銀時にも手を借りながら蔵場を襲撃。その後、危篤だったミツバの元に向かうも彼女は息を引き取っていた。

気づけばもう朝日が昇る時間。彼らは江戸の警察だ。今から処理する仕事が山積みで。銀時も引き連れて土方達は屯所へと戻った。その時だった。

「…土方さん、大変です!!」

先に屯所に戻っていた山崎が血相を変えてこちらへ飛んでくる。土方は重い体を引き摺りながら何だ、と山崎に問う。
すると山崎が口を開きかけたときに奥から女中達の声が聞こえた。

「…頼華ちゃん…!」
「凄い熱、意識もないわ!」

頼華、という名を聞いた土方は重かった筈の身体を走らせ声のする方へ向かう。襖を勢い良くあけるとそこにはぐったりと倒れている頼華の姿があった。

とりあえず山崎に病院に行く手筈を任せ土方は女中達に問う。
どうやら朝になっても、いつもは1番に起きている筈の頼華がおらず探し回っていた所をたまたまこの部屋に入ると見つけたらしい。それとここ数日、頼華はまともに食事を取っていないようだった。


すぐに大江戸病院に運ばれた頼華。土方だけでなく、彼女を知る銀時や近藤、沖田までもが病院に着いてきた。何故こいつらまで来るんだと一人心の中で呟きながら土方は処置室から出てくる頼華を待っていた。まさか朝方までいた病院に再び来るとはな。とも思いつつ長い時間だけが過ぎていった。


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