第61章 てのひら(玄奘三蔵)
「ちょ!…ち、近い…!」
「あ?当たり前だろ。つかこれ、邪魔。」
「…あ!待って…!」
三蔵の手により、無理やりに身体に巻いていたバスタオルを剥ぎ取られて。
「なに恥ずかしがることがある?」
「だ、って…」
「…頼華だけじゃねぇよ」
「…え?」
「…ほら、」
向き合って座る三蔵に、手を取られて三蔵の胸に私の手が当てられる。
トクトクと早い鼓動が、私の手から伝わってくる。
「…玄奘も、緊張してるの…?」
「あー、緊張っつーか…お前だから」
「え?」
「…頼華がこうさせてんだよ」
三蔵と目が合えば、ふい、と逸らされた彼の耳が少し赤くて。なんだか可愛くて、愛しくて。
「…そっか」
「…あぁ」
三蔵にぎゅ、と抱きつけば自分の心音と三蔵の心音だけが耳に入ってくる。
温かい、三蔵の身体。視界に入る、綺麗な金色の髪。
「…お前、誘ってんのか」
「え…ち、ちがう!そういうのじゃ……っ!!」
足の付け根に当たる、硬いもの。
「…阿呆、ンな顔で言われても誘ってるようにしか見えねぇが?」
「…ばか、」
がぶり、と項に噛み付いた三蔵の頭を撫でて、私は快感の海に溺れるしかなかった。
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「…んな不貞腐れた顔すんな」
「…阿呆三蔵」
「やりすぎたな、悪ぃ」
再度湯船に浸かり直して、三蔵を背中に感じながらも私は彼の腕の中で縮こまっていた。
「…手、貸せ」
「え…うん。」
「…小せぇ、頼華の手」
絡められたてのひら
___絶対に離さないように
(普段手を繋がない彼からの)
(小さいご褒美を)
end
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とりあえず風呂でイチャイチャさせたかっただけ。笑