第60章 優しい赤(XANXUS)
「んー…これかな…」
XANXUSとの任務が終わって、私たちはそのまま街に来ていた。最も、私のわがままに付き合ってもらってるのだけれど。
街で専ら1番大きいであろうジュエリーショップ。新しいピアスが欲しかった私は、任務後にダメ元でXANXUSにお願いしてみたらすんなり受け入れてもらえて今、この店にいる。
どうやらボンゴレが贔屓にしているお店のようで、私たちが店に入った瞬間に普通に買い物に来ていた人達はすぐに店を後にしたのだけれど。
『これはこれはXANXUS様。ご連絡頂ければ、予め準備しましたものを…』
「…事前に連絡しねぇと来たらいけねぇとでも?」
『こ、言葉足らずで申し訳ありません。ごゆっくりご覧下さいませ。』
店の主人であろう男は、冷や汗をかきつつもXANXUSから1歩退いて深くお辞儀をしていた。
そして顔を上げると同時に、私と目が合う。ふ、と何故かこんな餓鬼のためか?なんて聞こえた彼の心の声はあえて無視して、私は店内を見て回った。
いかにも高そうなジュエリーが並ぶ中、一際目立つ所にあるネックレスが目に入る。
XANXUSと同じ、赤い宝石がシンプルについているそれについ目がとられる。
いやいやいや、高すぎって。てか、今日はピアスを買いに来たのよ、とピアスが並ぶショーケースに目をやる。
…これがいいな。と買うものを決めて店員さんに声をかけた。
『こちらでよろしいですか?』
「はい。これでお願いします。」
案内されたソファに座って、父から与えられているカードを渡した。
「…もういいのか」
「うん。ありがとう。」
すでに座っていたXANXUSが、頬杖をついてこちらを見ていた。
やっぱり、あの赤は彼の瞳に似ている。
「…これ、やる。」
「…え?」
XANXUSから渡された黒い箱。なんで今なのかな、とも思いながら箱に手をかけた。
「…これ、って」
「…お前、かなり見ていただろ。」
「見てた、けど…」
箱の中には、さっき見ていたはずの赤い宝石があしらわれたネックレス。
「…いいの?」
「…いらねぇか?」
「いる!!」