第58章 光の姫(ゾロ)
寝入った彼の腕の中で、海を見つめる。どこまでも果てしなく広がる、青い海原。吹き上げる風が気持ちいい。
寝入るゾロを、見る。綺麗な緑色の髪の色。ふわふわしたそれに、いつも翻弄されているのだと。
「…そんな見んな」
「え…寝てたんじゃないの、」
「…そんなに見られてれば寝れるかよ」
「なんかごめん」
「お前も、寝ろ。」
そう言って彼は私の頭に手をやって。とくんとくん、と聞こえてくる心音は彼のものか、はたまた私のものか。
どちらであれ、規則正しいそれは居心地がよくて一気に眠気が襲ってきて目を閉じた。
ふに、と唇にあたる感触、ゾロだ。
「…おやすみ、ライカ」
「…おやすみ、ゾロ」
「あら、こんな所で」
たまたま通ったロビンはふふ、と笑いながらタオルケットを彼らにかける。
「仲がいいわね」
ライカの腰に回された、ごつい手。彼女を守るように回されたそれにまた、微笑みながら去っていった。
ロビンが去ってすぐ、ゾロは目を覚ます。
腕の中で眠るライカの足の付け根から、ちらりと覗かせる銃を見て戦闘中のこいつを思い出す。
出会った頃には戦いの方法なんて知らなかったはずのライカ。離れていた2年の間に、ある程度成長していた。
元々どっかの国のオヒメサマらしいこいつは、何故か護身術には長けて。
細っこい両腕で器用に二丁拳銃を使いこなし、羽が生えたように身軽に立回るその姿は、まるで天女かと思うほどに眩くて。笑いながら光を放つような姿が、目に浮かぶ。
タオルケットを再度ライカにかけ直して、眠る彼女にキスをした。
光の姫
__おれだけのオヒメサマ
(相変わらず見せつけてくれるわねー)
(ふふ、可愛いわね)
真っ青な空と海が広がるこの海域で、煌々と照る太陽がふたりを見守っていた。
end
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最近書きたい欲はあるのに短い…