第55章 現実(玄奘三蔵)
ここは、どこなんだろう。
深い、闇?
三蔵も、いない
闇にまた、私は沈むのか
「おい、頼華!!!」
「…げん、じょ…?」
「あぁ」
「玄奘、なの?」
目を開ければ、愛しい人。
「戻ってきてくれた、の?」
「あぁ?寝惚けてんのか、当たり前だろ」
「よかった、玄奘…」
彼が本当に目の前にいるのを確かめたくて、彼の首に顔を埋める。
「これ、お前がやったのか?」
「え…?」
「これ」
三蔵の指さす方を見れば、私たちがいる場所以外が全て吹き飛んでいて、生えていたはずの木々も無くなっていた。
「…うん、たぶん私」
「…そうか」
ひや、となにか冷たいものが私の指に嵌められた。
「え…これ」
「…着けとけ。絶対外すな」
「玄奘が作ってくれたの?」
「あぁ。」
「こりゃ、すげーな」
「頼華さんの力、ですかね」
「ほえー、頼華ってやっぱ強いんだな!」
「…つーかこれ、妖力じゃねーの?」
「まぁ僕にはなんとも言えませんが…そのような気がしますね」
恐らく頼華の指に嵌められたそれは、妖力を制御させるものなのだろうと八戒は思っていた。三蔵はそれを分かっていて、作り出したのだろう、と。
「…何ニヤニヤしてる」
「だって…玄奘から初めて貰ったから」
「そうかよ」
「…嬉しい、ありがとう玄奘」
三蔵と同じ髪色のような、金色の指輪。指は5本あるのに、なぜか薬指につけられたそれは、眩いくらいの光を放っていた。
現実
__幻じゃない
(えへへ、玄奘)
(なんだ)
(呼んだだけー)
(何だそれは)
(なんか前よりイチャイチャしてねーか、あれ)
(ふふ、面白いじゃないですか)
(俺は頼華と三蔵が仲良いだけで嬉しいけど)
end
____
イチャイチャしやがれ。笑