第53章 指定席(XANXUS)
「…馬鹿かお前」
「う……だって…」
「…阿呆」
「馬鹿とか阿呆とか言わないでよ!」
「…可愛い」
「…っ!??」
こいつがまさか、嫉妬するなんて。思ってもいなかった。
「…何照れてる」
「…だって」
「la mia carina ragazza.(俺の可愛い彼女ちゃん)」
「!??」
俺の手の内で真っ赤になる頼華にそう囁けば、驚きと嬉しさの表情がにじみでているのがわかる。
「…俺はお前しか見てねぇ。お前さえ居ればいい。」
「…うん」
「Ti amo,頼華」
「…XANXUS!!」
ぎゅっと抱きついてきた頼華に、俺は応えるように抱き締め返した。
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ス「…ったくよォ、世話の焼ける奴らだ」
ベ「シシシ、いいんじゃね?まだまだこれからだし」
ス「…お前、分かってて頼華を連れ出したな」
ベ「え?なんの話ー?王子知らね」
スクアーロは気になって頼華の部屋の前に来ていたが、やっと収まるべきところに収まったのか。と思いながら、いつの間にか着いてきていたベルフェゴールとその場を後にした。
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あの”禊”で、あの女共との過去が消えたという訳では無い。
最も、正直あの女共にとっては酷い事をしていたことは頼華から向けられた愛でわかっていた。
だからこそ、過去の『清算』としての行動だったのだが。
あの女共が俺に向けていたのもきっと”愛”だったのだろう。
だが、俺が受けいれたいのは頼華からの”愛”だけで。
どうか、アイツらが報われますようにと彼女を腕に閉じ込めながら、らしくないことを考えていた。
指定席
__俺の隣はお前だけ
(…頬、赤くなってる)
(…まぁ、それなりの清算だからな)
(…痛い?)
(お前がいれば痛くも痒くもねぇ)
(…そっか)
end
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ボスってきっと愛人めっちゃ居るよな、と。
んで、頼華ちゃんとくっついたからにはそれなりの清算は、重んじて受けてるよなぁなんて。