第50章 移り香(サンジ)
早くなる心拍と同時に、襲ってきた波。チカチカとする眩暈に、快感の波に襲われたと分かる。
「…かーわい、」
優しく頭を撫でてくる彼に、今私はどんな顔をしているのか。知る由もない。
「…悪ぃ、もう挿れたい」
「…うん」
「…怖い、か?」
「…大丈夫、さんじ、といっしょだから」
「…そうか」
宛てがわれた彼のモノ。熱く昂るソレが、いまから私のナカに__ずぶり、と侵入してくるモノ。ゆっくりと私のナカを進んでくるあつい、モノ。
「っく…」
不思議と痛みはなくサンジの顔を見ていた。苦痛、なのかそれともそれに似たなにかか。歪んだ表情をつくりだしているのは、私自身だ。
「…どした?」
「…きつい?」
「まぁな、狭ぇけど…すげぇきもちいい」
「…きもちいい、の?」
「あぁ。ライカンナカ、最高」
そうか、これは快感なのか。私で気持ちよくなってくれてるんだ。
「…っそんな締めんな」
「え、あ…ごめん…?」
「…もう、動く、な」
出し入れされる度に湧き出てくる、感情。だいすきな、サンジが今いちばん近くに。
「す、き…さん、じ」
「…あぁ」
頬を伝う涙は嬉しさ故に。ただ、今どうしても伝えたくて堪らなくて。
「っ…おれも、おれも好きだよライカ」
彼に手を伸ばせば、自然と絡めとられた両手。
愛を叫べとはよく言ったものだ。叫びたい時に、わたしは愛を叫ぶのだと、彼から与えられる口付けに彼に流し込んで。
彼の熱は、わたしのナカで混じりあって弾けた。
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「…ん、」
目が覚めてふと、身動ぎすれば右手は繋がれている。繋がれている先にあるのは、サンジの左手で。それを目で追って、顔を見れば隣ですやすやと眠る彼の表情。
ふと先程のことを思い出す。そっか、さっきサンジと。なんて思えば、顔に熱が集まるのがわかる。
「…くく、」
「…え、起きて…!?」
「…可愛くて寝たふりしてた悪ぃ」
「…っバカサンジ」
「…可愛い、ライカ」
「…サンジはかっこいいよ」
「っ…まさか、言ってくれるとは…」
「…もう、わたしも我慢しないから」
移り香
__私にそれを移して
end
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まさかの3日掛かりました…