第45章 女神様(サンジ)
「…あー。疲れた。」
今日はほんと、なんて日だってくらいに急患の搬送ばかり。入院、入院の連続で。入院の受け入れで忙しい病棟なのに、しれっと先に帰っていったクソ師長が。なんて頭の中でボヤきながらなんとか間に合った終電に乗った。
いつもの風景、いつもの街並み。今日はいわゆる華の金曜日で、終電なのに人で、ごった返してる。なんとか座れる席を見つけて、座りこんだ。
「…ただいまー。」
誰もいるはずのない部屋に、そう言いながら入る。一人暮らしだし、最近物騒な世の中だし、防犯対策だ。
お風呂は朝入ればいいか。もう10月なのに未だに暑いこの日本。異常気象か、なんて呟きながら半袖短パンの部屋着に着替えた。
明日はやっと休み。なんて思って冷蔵庫のなかに常備しているビールを取り出して、プシュ、と開ければ溢れ出る泡が床にこぼれてしまった。
「…はぁ、ついてない。」
ビールをキッチンに置いて、タオルを取りに脱衣所に向かう。その途中にある、自分の寝室の前でなぜか足が止まる。
「…え、なに?」
ガチャリと扉を開いたけれど何も無く。棚の上には”彼”が並んでいるだけだった。
「…気のせいか。ただいま、サンジ!」
…なんて声をかける。いい歳して”ワンピース”の”サンジ”にどハマり中の私は、ひとりで何してんのよって思われるかもしれないけれど。
彼が私の心の支え、だから。
「ん…?なに、これ……」
並べられたフィギュア達の中で、1体だけ異様な光を放っていた。最近買ったフィギュアだ。
手に取ると、一気に目の前が暗くなる。
「…え。なにが、起こってるの…?」
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ワノ国での決戦の末、ワノ国を支配していた百獣海賊団と黒炭家、及びビッグ・マムが新世代たちの活躍により撃破された。
その新世代のうちのひとり、モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味はサウザンドサニー号でワノ国を出航したばかりであった。
がやがやと騒がしい甲板で、サンジはふと空を見上げた。
「天気いいなぁ」
さて今日は何を作ろうか。なんて思いながら煙草に火をつけた。
すると、一筋の光が真上の空に走る。
「…なんだ?」
落ちてきたものを反射的に受け止めた。
「…お、女の子…!??」