第44章 目指す先に(灰崎祥吾)
あの、祥吾くんと再会した日。周りがとても輝いて見えた。
誰にどう思われようが、誰がどう思っていようが、私はずっとあなたのそばにいたいから。
青「は?福田総合に行く?」
「うん。実はもう、転入試験受かっちゃったし引越しの準備も出来てるの」
あの日からすぐに。転入試験とか引越しとか、一気に忙しくなったけど気づけば2週間が経っていた。
桐皇に誘ってくれた青峰くんとさつきちゃんには、自分の口から言いたくて彼らを呼び出していた。
青「早くね!?」
「少しでも、祥吾くんの近くにいたいから」
青「…そっか。」
さつきちゃんは未だに黙ってる。
「…さつきちゃん?」
桃「…寂しくなるなぁ」
「っ…そう、だね」
「ふたりとも、ありがとう。」
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引越し当日。荷物はすべて配送業者に任せて、私は駅である人を待つ。
「…頼華!」
「…祥吾くん!」
祥吾くんと会うのは1ヶ月ぶりで。私たちは人目もはばからずに、駅のホームのど真ん中で抱き合っていた。
「あー、落ち着く。」
「…うんっ」
「…久しぶり、だな」
ぎゅうと、強く抱きしめられる力。
青「おーおー、見せつけてくれんな」
「は、大輝!?」
「…え、青峰くんとさつきちゃん!?」
桃「よかった、間に合った」
青「見送り行きてぇって、どうしてもさつきが言うからよ」
桃「それは大ちゃんもでしょ!??」
相変わらずだなぁ、なんて。ふふ、と未だに抱きしめてくる祥吾くんの腕の中で笑えば頭を撫でられる。
青「もう、大丈夫だな」
「…うん。本当にありがとう。」
「…おい、大輝触んな。」
青「独占欲丸出しの男は嫌われるぞー」
「んだと!??」
言い合う2人に、中学時代を少し思い出した。
桃「…絶対会いに行くからね!」
「っ…うん!!」
2人に見送られて、新幹線は出発した。
窓から見える見慣れた景色。
大丈夫。もう、いまの私の隣には彼がいるから。
私に身体を預けるように、隣に座って眠る彼の手を握り返して。私も微睡みのなかに、意識を手放した。