第43章 道の先には(火神大我)
「え、アメリカ…?」
「…あぁ。あっちの高校から誘われてるんだ。」
いま、アメリカっていった?大我が…?
そりゃそうだ。いずれこうなるなんて、分かっていたことのはず。
「…あー、なんか勘違いしてね?」
「え…?」
「…お前を連れて行きたいんだけど」
「…えぇぇ!?」
「…そんなに驚くことか?」
「だ、だって私てっきりまた置いてかれる、って…」
「…んなわけあるか。俺が…」
「俺が?」
「…何ニヤついてるんだよ」
「…はやく、言ってよ。聞きたい、大我の口から。」
「…あー、ったく!俺が一緒に居てぇの!悪いか!」
耳まで真っ赤にしてそっぽ向く彼に、私は勢いよく飛びついた。
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アメリカの高校に誘われた大我のそばにいるために。
再びわたしたちはアメリカに飛んだ。
わくわくしていた私だったが、それは一気に覆されていた。
「…はぁ。」
『どうしたの、そんなため息ついて』
「…べつにー」
『どうせまた彼のことでしょ』
こっちの高校に来てすぐにできた友達は、ほら、買ってきたよ。なんて珈琲を目の前に置いた。
「…まぁそうなんだけどさ」
『なんでそんなに落ち込んでるわけ?』
「あー…いやぁ、まぁ、ね」
『…ちょっと、そんなに見ないでくれない?』
「…何食べたらそうなるわけ」
『…は?』
「…何食べたらそんなに育つのって聞いてるの!!」
友達はやれやれ、と珈琲を口にした。私も、ズズズとそれを口にする。
『別に何もしてないわよ』
「…嘘」
『なんで、胸の大きさ気にしてる訳?』
「だってさー……」
こっちに帰ってきて、改めて思う。神様って平等じゃないな、って。身長も胸も、足や腕の長さも。すべて私とは比べるまでもないくらい、あるから。
『そんなの一々気にしてどうするのよ』
「…気にするに決まってるじゃない。」
大我をサポートするために、アレックスの力を借りてマネージャーになったんだけど。
こっちの応援って、どこまでもチアリーダーがついてる。点数が入る事に、一々揺れてるアレ。優勝すれば、メンバーに抱きつく姿。慣れなきゃとはおもうけど、慣れるわけない。
私は再びため息をつきながら、珈琲を飲み干した。