第37章 表裏一体(XANXUS)
「ねぇ、あなたたちさぁ」
「ひ、もう、やめてくれぇぇぇ!!」
「誰のたいせつな人に、何してくれたわけ!!?」
生まれ持った風の守護者としての力。そして沢田綱吉の従姉妹だからか、流れている大空の血。それを掛け合わせれば周りは風化状態と化していた。
「ねぇ、ねぇなんで、なんでよ。なんでなんでなんで!!」
誰に問う訳でもなくて。やるせない気持ちとどす黒い感情が頼華の中身を駆け巡る。聞こえてくる助けてくれと命乞いする声が頼華の攻撃に拍車をかける。
「誰_____んん、っ…!!!」
無理やりに引かれた手を振りほどけずにいた頼華の前にいたのは___XANXUSだった。
少女に口付けてほんの一瞬できた隙に、XANXUSは少女の半面を取り上げた。
「…もう安心しろ」
「…ざ、んざす?」
「…あぁ。」
「…ほんとにXANXUS?XANXUS、なの?」
少女の目の充血が引いていく。少女は男を確かめるように男の顔に手を伸ばす。
「…XANXUS、だぁ」
「…あぁ。ここにいる」
「…俺たちの邪魔をするんじゃねぇよドカスが」
頼華に抱き寄せながら尚も襲いかかる敵に、憤怒の炎が燃え上がった。
一部始終みていたスクアーロは安心していた。やはり頼華は暴走状態にはいっていたのだ、と。暴走した少女の能力がXANXUSのいる牢屋をぶっ壊すのをみて、チャンスだと。
中に入れば、おそらく睡眠薬で眠らされていたであろうXANXUSの姿があった。幸いにも傷はなく、XANXUSに薬盛るなんてどこの命知らずだとも思ったが。
なんとか無理やりにでも起こしたXANXUSは、はじめはかなり不機嫌だったがすぐに状況を把握したのか。少女のもとに掛けていく後ろ姿をみて、もう大丈夫だと思った。
「ごめんなさい。」
「…なぜ謝る」
「だって、また…」
暴走してしまった、と項垂れる頼華。
「…どちらのお前も本物じゃねーか」
「そ、そうだけど…」
「…お前のままでいい」
「…え?」
「…どっちであろうが頼華に変わりはねぇ」
表裏一体
風の守護者であるお前、も
大空の血が流れるお前、も
すべて頼華自身なのだから
end
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