第36章 邪魔するやつは(一方通行)
「…ったく、なんで俺がこんなことに」
「あなたをちゃんと見てるって、ミサカはミサカは約束したの!!」
「…俺は約束してねぇぞ」
「あなたとじゃないよ、ってミサカはミサカは頼華と手を繋ぐのだぁ!!」
「そうだね。私と約束したね」
ねー!!と小さい少女は黒髪の女に笑いかける。あの黒髪の女、頼華ってのか、とまた自分の記憶に付け加えた。
「…はぁ。」
「一方通行?」
…急に立ち止まった一方通行に、俺は気づかれたかと慌てて引き返した、筈だった。
「ひ、ぃぃぃぃぃ…!!」
「…さっきから着いてきてるのはお前、だよなぁ?」
…やばい、バレてしまった。まだ俺は何もしていないのに、尾行してただけなのに、殺される。
「…なんか言えよ、あ゙ぁ??」
目の前の一方通行が地面を一蹴りしただけで、飛んでくる小石。…違う、これは地面のコンクリート…!??
やっぱ第1位なんて、相手にするもんじゃなかった。なんて後悔はとうに遅いようだ。
「ちょっと一方通行、やりすぎ」
「…お前は黙ってろ」
「やだ。打ち止めが怖がってる。」
「…チッ」
「…お願いだから、ね?」
…なんだ、攻撃が、止まった??
ゆっくりと一方通行を見遣れば、黒髪の女が一方通行の腕を引っ張っている。一方通行は舌打ちはしているものの、黒髪の女の言うことを聞いたのか攻撃が止まった。
「…ごめんなさい、大丈夫?」
黒髪の女が俺に話しかけた。打ち止めが怖がっていたのは確かなのだろう、彼女の腰にまとわりついているから。
「…あぁ、大丈夫」
「…あの人があんなになるって、あなた暗部?」
「!??」
なんなんだこの女。俺が暗部の人間だとバレている…?
俺は黒髪の女にあった事すらないのに何故…?
「…お願いだから、これ以上あの人を刺激しないで」
そう言った彼女は失礼します、と至極丁寧にお辞儀をして”あの人”____一方通行の元へ走っていった。
「…まぁ、そういうこったゲス野郎が」
…たぶん俺の思惑は一方通行にはバレている。追いついた黒髪の女を引っ張り、彼女の腰に手を回して俺を見下していた。
邪魔するやつは
__馬に蹴られて死んじまえ
大昔から伝わる言葉通りに俺はなったということか。
end
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一方通行、かわいい。笑