第36章 邪魔するやつは(一方通行)
この学園都市のなかで、最強といわれる『超能力者(レベル5)』。超能力者は7人いて、その中で第1位と言われている一方通行。その一方通行を暗殺するのが、自分の仕事である俺は一方通行の新しい情報を手に入れた。
「…は?あの、一方通行が?」
へぇ、面白い。
以前に手に入れた情報では、絶対能力進化計画(レベル6シフト計画)で超能力者のひとりである第3位の超電磁砲(レールガン)のDNAマップで造られた御坂妹達(シスターズ)を1万以上も殺した一方通行。その計画の進行はオリジナルである、御坂美琴とレベル0により阻止された、とのこと。
そんなものではもちろん満足していないのだが。
今日、新たに入った情報はふたつ。ひとつは、その妹達の最後に造られた上位個体である打ち止め(ラストオーダー)を連れているとのこと。
何故、自分が殺したはずの妹達と同じDNAの打ち止めを連れているかなんてもんは知る由もないが。
もうひとつ入った情報、それが俺の一方通行への興味をさらに掻き立てる。
言わば一匹狼だった一方通行が、打ち止め以外にも女を連れているらしい。その女の能力は、学園都市とは似て非なるものである、と。詳しい情報はなくて。
だが、これだけあれば充分だろう、なんて思い俺は懐に隠した武器を確認して部屋を出た。
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「こんなに運がいいことなんてあるか?」
一方通行が大体どの辺を普段うろついてるかなんて知っていたが、まさかこんなに早く見つかるなんて。たしかに情報通りに、小さい少女がそばに居る。
「…あれが打ち止め、」
そう、頭に記憶して。その打ち止めであろう小さい少女の隣をあるく、黒髪の女。
「…あれか」
雰囲気を見る限り、おそらくあのふたりが一方通行の弱みだな、なんて。ニヤつきが止まらない。
以前に手に入れた情報をふと思い出す。やはり、情報通りに一方通行は首元にチョーカーらしきものを付けている。
あの一方通行の脳を撃ち抜いたのはどこかの科学者だったらしいが。
あのチョーカーが演算補助デバイス。あれを狙えば容易いのだろうが、そもそもあれを狙ってきた名だたる連中は潰されてきているからあえて俺は手を出さない。俺の狙いはただひとつ、黒髪の女だけ。