第34章 お題3
『魔王の親』のヒロイン
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「頼華。これを。」
「…これ何?」
「魔界の薬だ。なんにでも効くものらしい」
ヒルダから渡された箱。パッケージは如何にも魔界仕様で、魔界語がつらつらと書かれていてよく読めない。
「でもなんで、薬…?」
「よく頭が痛いだの、腰が痛いだの言ってるだろう?この薬はその時の体調に応じて、反応してくれるのだよ」
「へー!そんなものあるんだ!ありがとうヒルダ!」
ヒルダは以前から頼華が頭痛や腰痛に悩まされていることを知っていた。まぁ…その原因は男鹿辰己なのだが。
どこまででも求めてくる彼の性欲は計り知れないもので、その影響なのか鎮痛剤を普段から常用していたのだが。人間、その薬に抗体が出来てさえしまえば効果はもちろん半減する。
だからヒルダから受け取った薬を見ても何も思わなかった。
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お昼ご飯。いつもの屋上で、古市やヒルダ、ベル坊に男鹿、そして頼華の5人で何気なく話していた。
「最近おもしれーことねぇよな」
古「平和なのはいいことじゃねぇか」
「あ、そうだ。薬飲まなきゃ」
頼華が取りだした箱に違和感を覚えた男鹿。
「それいつものとは違くねーか?」
「ヒルダから貰ったの!何か色んなことに効くらしくていい薬みたいでさ。」
「それ魔界のじゃねーか!大丈夫なのかよ、ヒルダ」
ヒ「人間にも効果があるらしいぞ」
箱の中身は人間界の薬とおなじソレで。どうやら説明文書も入っているが魔界語で書いてあるため、ヒルダが代読しようと受け取っていた。
「へぇ。ピンクの錠剤なんだね。小さいから飲みやすそう」
そういって頼華は、ペットボトルの水で薬を流し込んだ。
ヒ「ふむ。なるほど。」
「何か分かったのかよ」
ヒ「人間が、口にすれば”別の薬”になると書いてある」
古「はぁぁぁぁ!?おい、さっき頼華ちゃん飲んじまったぞ!?」
ヒ「まぁ落ち着け。”びやく”?と書いてあるぞ」
「なんだとぉぉぉ!?」
古「えぇぇぇぇぇ!???」
「バカ古市うるせぇ」
慌てて頼華を見れば、すでに息遣いが荒くなってきている。しかも。なんだありゃ。猫の耳??しっぽまで生えているではないか。