第34章 お題3
『私たちには壁がある』ヒロイン
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とある国の、とある場所。血腥いにおいが漂うなか佇む男たち。
「…チッ、」
「…ゔぉぉぉい、ここじゃねーのか」
生い茂る木の中にひっそりと佇む洋館を見つけた2人は足を進めた。
先刻、敵の襲撃をうけたヴァリアー邸。今までに見たことの無い奴らで、ほんの数秒。目を離した隙に頼華を攫われた。
他の幹部__主にベルフェゴールやマーモンは着いていくと聞かなかったので彼らには森の中を探させていた。
XANXUSは後悔してもしきれないほどに苛立っていた。ほんの数秒、彼女から目を離しただけで攫われるとは、なんて思いつつ。
普通なら裏口など探して入るものだろうが、彼らはそれを知らない。憤怒の炎で灰となった正面入口をXANXUSは、黙々と歩いていく。
ス「…ったく、頼華の事となると容赦ねェな」
恐らく頼華がいるであろう場所にただ真っ直ぐに歩いていくXANXUSを横目に、襲いかかる敵を切り倒しながらスクアーロは独りごちていた。
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屋敷の最奥。おそらく頼華はここにいる。
さて、と扉を蹴り飛ばそうとしたXANXUSの耳に入った頼華の声。
「…ゃ…ざんざす……!!」
「ッチ……ドカスが…!!!」
蹴り破るのをやめて、扉ごと炎で燃やし尽くせば、そこには頼華の露わになった姿があって。近くには首謀者と思われる人物が。
「…死ぬ覚悟は、出来てんだろうな?あ゙ぁ!?」
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憤怒の炎と二丁拳銃で、相手の命諸共すべてを一瞬にして吹き飛ばした。
「…頼華、」
手錠で縛られた頼華に近寄り、怪我がないかを確認するために彼女の頬に触れたXANXUSは、少し違和感を覚えた。
「ん、ゃ…ぁ」
頬に触れただけで、この反応。よく見れば頼華の顔には涙のあとが沢山あって、妙に体も熱く顔も赤い。
「ぃ、まは…だめ、」
「はっ…」
そういうことか。このカス共は頼華に薬を盛っていたのだ。