第29章 酩酊のなかで(跡部景吾)
たしかに俺も頼華もすでに親だ。
でも、その前にひとりの人間で。
まだまだこれからの、若い男女で。
今、俺の下で顔を真っ赤にした頼華は母親のそれではなく___ひとりの女としての顔だった。
「頼華……頼華、」
「ん、ぅ……そ、こ……見えちゃ……!」
「見せてやればいい。俺の”モノ”なんだから」
首元から胸元へ、きつく吸い上げ残る紅い跡は俺の”モノ”という証拠。
「ま、待って。景吾くん」
「…ん?どうした?」
「あ、あたしも……!」
「?」
「…あ、たしも付けたい、」
「…!」
酒のせいかいつもより積極的に見える頼華に俺は小さく頷いた。
「ん……つ、つかない」
「もっと吸っていいぞ?」
ん、む……と必死に頑張る彼女にムクムクと俺のモノがたちあがるのが分かった。
「…け、いご」
「!……どうした?」
「今日は、その……あたしがしてもいい……?」
頼華が俺を呼び捨てするなんて、めったになく。そういう”行為”中だけなのだが。俺の返事を聞く間もなく、頼華はガチャリと俺のベルトに手をかけた。
「ちょ……頼華……っ!」
外気に触れブルりとたちあがった俺のモノを、頼華は小さな口で一気に咥えこんでいた。
ぎこちなく動く彼女の口の中は温かく、ぬるりとしていて。
ちろちろと途中で舐められればさらに快感が襲ってきた。
……こいつ、どこでこんなの覚えたんだよ
彼女の”ハジメテ”を奪ったのは自分だし、今まで頼華に口淫されたこともない。
こんなに気持ちイイものなのか、と俺は快感に酔いしれていた。
「っ…、おい、頼華、」
「ひ、もちいい?」
「……く、わえたまま喋るな、っ……」
なんだこの可愛い生き物は。本当に頼華か?
もしかしたらこれが本当の彼女か?
「っ、もう、ダメだ……!」
「ん、だ、ひて……??」
「ばっ……!……く、そ!」
頼華の髪に手を伸ばす。
ただ目の前にある快感に、頼華の口の中にすべてを吐き出した。