第28章 結び目(一方通行)
「……はぁ。なんでお前まで着いてくる」
何回目のやり取りか。一方通行は後ろからついてくる人物へそう問いかけた。
「あなたがまた何処か行っちゃうから、みさかはみさかは着いていくのだ!!」
「…お前にじゃない、お前だよ」
「え、私?」
ついてくる打ち止め(ラストオーダー)の横にいる黒髪の女の子にそう問いかける。
「はぁ……お前しかいないだろ」
「だって私は打ち止めの保護者代わりだし」
「頼華がいないと、みさかはみさかは悲しくて泣いちゃうんだから」
「……はいはい」
どこに行くにもついてくる打ち止め。
今まで俺はこの街、学園都市のレベル5の第1位であり、自分の実力を試してくる三下共の喧嘩を買っていた。
一匹狼、なんてかっこいいものじゃない。
自分はただの悪党、なんて。
あのレベル0__に負けてから俺は分からなくなった。
自分が何者であるのか、も。
その時なぜか俺に手を差し伸べた頼華。
上条頼華って言ったあの女は、どうやら俺と同じくこの街の闇を散々みてきたのだろう。
最初は付き纏ってくる頼華が疎ましく感じたが、気づけば彼女がいないとどうやら力が出ないらしい。
そこに加わってきたのが打ち止めで。
打ち止めを狙っていた、あのクソ野郎から助けるために、俺は前頭葉に傷を覆い、演算補助をこのデバイスなしではやっていけないのだが。
________
「……寝たのか」
「あ、一方通行。うん、寝ちゃったね。」
ソファに丸まり寝ている打ち止めを横目にみやり、俺は頼華の隣に座った。
「また、それ飲んでるの」
「…あぁ。」
手に持った缶コーヒーを口にする。苦味はあれど俺の口に合うそれは、俺はよく気に済むまで飲んでいるものだ。
「……おい、」
「なに?」
「……」
「…一方通行?」
「……チッ」
俺は一体彼女に何を言おうとしたのか。
この、第1位様が?悪党なのに???
「一方通行、どうし___!」
頼華の膝の上に頭を乗せて横になった。
「ど、どうしたの」
「…別にどうもしねぇよ」