第4章 安らかなひととき(XANXUS)
「…てめぇはここにいりゃいい」
俺だけで相手をするから黙って座っとけ、と。頼華は嬉しそうに、彼の胸元に寄り添った。
XANXUSは頼華が妊娠してからというもの、自分は任務に出ることもなく。且つ頼華も勿論任務など仕事一切させなかった。
2人の雰囲気にイラついたジルとオルゲルトは総攻撃に入る。XANXUSも匣兵器─ベスターを駆使して闘っていた。が、ジルの姑息な手によりXANXUS達は攻撃を受けてしまった。
「…XANXUS!!」
XANXUSは頼華を咄嗟に庇い全身から血が吹き出していた。勿論、ベスターからも。妊婦の頼華の身に何かあってはお腹の子供も影響を受けかねい。
彼を心配して顔を覗き込む頼華の目には少し涙が溜まっていた。自分を守ってくれようとするのは嬉しい。だが、それでXANXUSが傷つくのであれば話は別だ。
少し殺気立ってジルたちを見つめる頼華の目は母親の目のそれだった。お腹の子供をましてや愛しい人を傷つけるのは許さない、とばかりに頼華も己の匣兵器を開匣した。
頼華の匣兵器─頼華は元々幻の風の守護者ではあるが沢田綱吉の従姉妹、というのもあってかXANXUSと同じく大空の波動も流れていた。
その為彼女の匣兵器はXANXUSと同じライガーであり、天空風ライガー(リグレ·ヴェント·ディ·チェーリ)の雌─エマと言った。
「…エマ!!」
エマは頼華の命で、咆哮で撃破すると主の頼華と同じようにXANXUSの匣兵器であるベスターに寄り添った。
「…XANXUS…?」
「…てめぇは、」
「ん、ごめんね。でも…どうしても」
あなたが傷つくのは我慢できなかった、と言う頼華の頭を撫でるXANXUSの表情は憤怒の手前。
頼華に怒っているのではない、少し隙を与えてしまった己にと─あとは目の前の敵にだ。一気にXANXUSの顔に古傷が浮び上がる。頼華はその傷をひと撫でしギリリと歯を食いしばった。