第26章 あなたとともに(ゾロ)
「…はぁ。」
今日は天気がいい。
洗濯物を干しながら彼女は小さくため息をこぼした。
果てしなく広がる海の上にある船の上。
狭い船の上だからこそ、なのか。
まさか”ああ”なるなんて思ってもなかった。
彼女の悩みの”種”は今、目の前の甲板で鼾をかいて寝ている緑頭の人物、ゾロだ。
仲間になって幾分か経った頃。
所謂”そういう関係”になってしまった、彼と。
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とある島に上陸した際、たまたま船番をすることになって。
その日も天気が良かった、今日みたいに。
みんなが出払っている、そう思いシャワーでも浴びようかと風呂場に向かい扉を開けようと手をかければ、逆側から扉が開けられた。
「…あ?」
「え…!??…なんでいるの!??」
「…そりゃこっちのセリフなんだが」
まさに上がったばかりであろうゾロは腰にタオルを巻いて、頭を拭いている状態で。
扉を開けようとしたとき咄嗟に反応できず、ゾロの胸元に飛び込む形になっていた。
鍛え上げられた彼の体が嫌でも目に入ってきて、とっさに跳ね除けた、つもりだった。
「なに照れてんだよ」
「な…何言って…!」
「…お前、いい匂いする」
「へ……あ…!」
ガブリ、と首元に噛み付かれた。
「ちょ…何して…!」
「…いいから来い」
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そのまま、関係を持ってしまったのだ。
あれからことある事に彼は私を求めてきて。
クルーが近くにいようがお構い無しに求めてくる彼。
元々ゾロに対しては特別な感情を抱いていた。
出会った時から、ずっと、彼が好きだったから。
でもゾロは女には興味無い、なんて思っていたのに。
「…はぁ。」
「…ライカ、さっきからため息つきすぎじゃない?幸せ逃げるわよ」
「ナミ…!」
「悩み、あるんでしょ?聞いてあげるから」
ほら、こっち。とナミはライカの手を引いてダイニングに向かった。