第3章 私たちには壁がある(XANXUS)
リング争奪戦──今思えばヴァリアー幹部として参加したあの闘いを心のどこかで少し後悔していたのかもしれない。
あんな物さえなければ今頃私たちは笑っていつもの日常を過ごしていたのかもしれないのに。
互いの守護者、そしてⅩ代目の座を争う沢田綱吉とXANXUSに唯ならぬ傷を残した争奪戦は沢田側の勝利で終わった。
ヴァリアーといえば泣く子も黙るボンゴレ最強暗殺部隊。それを率いるXANXUSがⅨ代目ティモッテオの息子ではなかった事。それは8年前のゆりかごの時にスクアーロだけは知っていた事実。
8年前といえば彼女はまだ7歳で日本にいた。幼少期からXANXUSの事は知っていた。龍ヶ崎家と言えば名のある極道であり各国のマフィアとも繋がりがあった。その関係でよく父親にイタリアに連れていかれた時にXANXUSに遊んでもらっていた。当初からぶっきらぼうで傲慢すぎる態度は変わらなかったが彼女に対してだけは優しく接していたXANXUS。
中学からイタリアに留学という父親の命でイタリアに行ってからというもの、ヴァリアー本部でスクアーロ達と過ごしながら中学に通い何時しか幹部にまで上り詰めた。
XANXUSが凍らされていると聞いて初めはショックが隠せなかった。それでも彼女はXANXUSを何時からか愛してしまっていたのだろうXANXUSの元を毎日のように訪れていた。
そしてXANXUSは誰の手によるものか融解され、リング争奪戦になり──まさか相手が彼女の従兄弟だと知った時は驚きはしたものの決してXANXUSへの愛情は揺るがなかった。
争奪戦で久しぶりにみた従兄弟である、沢田綱吉は相変わらず幼さを残しつつもどこか信念があるように感じた。XANXUSとは違う強さを。
争奪戦後ヴァリアー幹部はボンゴレの監視下に置かれ謹慎が下った。まともに外出も出来ない。