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空と陸の距離

第11章 解放の時間




「私、和さんが好きです」
「うん」
「恋なんて、忘れたつもりだった」
「うん」


もう恋なんてしないとか
かっこつけた。
でも無理だよ。

和さんに出会って、私は変わったんだ。
和さんが変えてくれた。


和さんのおかげで私は。



「だからね、和さん」
「はい」
「ありがと」



口は笑ってるけど
気難しそうな和さん。
そりゃそうか。
告白なんて、私には不似合いだもんね。



「でも、何も求めてないよ?
付き合いたいとか、全然求めてないよ。
私は、思ったことを伝えたかった。
要はね、我が儘なの。

和さんに、伝えたいっていう我が儘だったから
気にしないでね」






笑ってみせた。
そもそも、今思えば
私が泣いても泣かなくても
和さんは私の病室に来てくれてた。

会いにきてくれてた。
それだけで嬉しいことでしょ。
これ以上なにかを求めるわけじゃない。




「和さん?」




和さんは下を向いて動かなくなった。




「さん」
「はい」




「好きです、なんて言われて
気にしない男がいるとでも?」

「・・・ごめん。本当にごめんなさい」




我が儘なのはわかってる。
それで和さんに迷惑かけてることも。


だから、



だからね和さん。




「明後日の件、消していいよ」
「は?」

和さんの顔が上がった。
怖い目だけど思い伝えるだけ伝えて終わる。



「私、あの日から和さんのこと考えてた。
それは、意識戻ってはじめて出会った人だから。
よくしてくれて、気づけば恋してた。

でも、和さんの気持ちも予定も無視してた。
今更気づいたの、遅いでしょ?

ごめんね。だから、明後日のお休みまで
私の我が儘で付き合わせる訳にはいかない。


和さんは和さんの過ごしたい人と
過ごしたいように過ごしてね」






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