第8章 泣かないで
空がだんだん暗くなって
風も冷たくなりだした。
「戻らなくていいの?」
空を見上げながら聞けば
答える和さんも空を見る。
「私はいいの」
「ふーん」
「貴女は?」
「これから星を見るんだー」
この屋上は、夕日が見えるだけじゃない。
夜になれば、満天の星々が見える。
この辺で高い建物はこの病院ぐらいで
都会のくせに星がよく見える。
「星・・・ですか」
「もう、ずっと見てないでしょ?」
「そうかもね」
立ち上がっていた和さんが
また私の隣に腰かけて
後ろに手をついてダランとした。