第7章 見えない恋心
「私ね?事故に遭ったって言ったでしょ?」
ふいにどこかを見ながら
さんが語りだした。
「友達とドライブしてたの」
「そしたら、信号無視の車が来てね?友達が運転してたんだけど、免許取れたてだったから、避けられなくて」
それからこっちを見て
悲しい目をした。
「ドーンってぶつかったの。本当に、ドーンってね?それで、車ごと飛ばされた。痛かったよ?」
笑ってるけど
こっちからしてみれば
全然笑える話じゃない。
「友達は、亡くなった」
「え・・・」
「私も目が覚めたときは、信じられなかった。それと同時に、私だけ生き残ったんだ・・・てね」
そのあとも話は続いた。
その亡くなった友達の母親が
なぜ自分の子供が死んだのか、
とさんを責めたこと。
自分と友達の知り合いは
誰も自分を心配してくれなかったこと。
悲劇のヒロインだと
思われたこと。
足が原因で、付き合っていた人に
振られたこと。