第7章 見えない恋心
「和さんー目が回るー」
「そりゃ、回ってるからね?」
ぐるぐる回って
そろそろ私にも体力の限界がきた。
なにせもうすぐ30ですからね。
「わ~。はははっ」
「どしたの」
「こんなに風を受けたの、久しぶり」
「そうなの?」
「ずっと建物の中だったから。最後に回った日なんて覚えてないよ」
気持ち~と
カピバラみたいな顔をするさん。
「楽しいね和さん」
「さっきの心配はどこに消えたのよ」
「ありがとう和さん」
「どういたしまして」
車イスまでもどって
彼女を座らせる。
「これでいいの?」
「うん」
「辛くない?」
「大丈夫」
下ろしてから
自分もさんの隣に腰かけた。
「あーいい運動」
「気持ちよかった~」
「それはよかったです」
「またやってね」
「絶対いや」
視線を感じて横を見ると
さんと目が合う。
特に何もないけど
笑えてしまう。
この人といると。