第5章 結婚記念日
少し驚いた顔をしてから
クスッと笑う皆。
「当たり前だよ」
「言われなくても居たよね?」
「そうそう」
ソファに座る私に対し
床で胡座をかく潤くんが
私の足をバシッと叩いて言った。
「記念日くらい、泣いたら?ちゃんだって、悠の前では泣くなって言ったけど、俺らの前では言わなかった。
それに、こうやって記念日を祝う日、ずっと待ってたんだよね」
最後の言葉の意味がわからずにいると
「一方的に言うつもりはなかったんだけどさ」
翔さんが後をついだ。
「俺たちね、ちゃんのお見舞いに四人で行ったことあったんだけど。
そのとき、頼まれたんだよね。貴方の姫から、貴方へ」
その続きを話し出したのは相葉さん。
「持ってった花束見ながら、ちゃんがね
『私がもし死んでしまったら、そのとき皆さんに、和さんへ伝言をしてください』
『伝言を?』
『はい』
『わかった・・・なに?』
『和さんは、悲しんでくれる。すごく私を愛してくれた。でも、悠の前では泣かないでって頼んだんです。
だから、皆さんの前では、和さんをこの縛りからほどいてあげてください。
そして・・・』