第3章 はじめまして
「うん。そうかな」
「事故?」
「そう。半年前。でも目が覚めたのは半月前」
「半月前?」
「意識不明だって。ほら、よくあるでしょ?ニュースとかでアナウンサーが『意識不明の重体です』って。それのこと」
彼女は笑って言った。
まるで他人のことのように。
足が動く私らからしてみれば
悲しい話だし、辛い立場の彼女。
でも、今私に話す彼女は
「テレビに出演したんだよ?私」
と、自分を指して無邪気に笑う。
「泣いたの?」
「うん。でももう涙の一滴も出ないよ?」
「なんでよ」
「捨てたから」
しれっと返ってきた返事には
正直耳を疑いましたよ(笑)
「意味わかんない」
「意味はこれからだよ」