第2章 捨てた希望
チンッという音がする。
ドアが開いて、屋上に出た。
フワッと、風が肌に触れて
気持ちいい。
真っ赤で、熟した柿みたいな夕日。
エレベーターを、降りて
柵のギリギリまで車椅子を進める。
いつもの場所に向かっていると
少し先に、いつもは見かけない顔がある。
黒い人影。
少し猫背な人。
片手を曲げてるから、
たぶん骨折かなんかして
ここに来た人かな。
その人に近づきつつ、
夕日を眺める。
「やっぱり綺麗だなぁ~」
思わず口から出た感想。
それに、そこの人が反応して
こちらを振り返った。