第14章 誰にでも
「さん」
「か、和・・・さん」
強く強く抱き締められる。
和さんを、感じられる。
どうして、和さん。
ダメなのに・・・ダメって言えないよ。
私は貴方を置いていくんだよ?
迷惑しかかけないんだよ、和さん。
和さんの重石になって、振り回すんだよ?
だから、和さん・・・
「離れて・・・?」
そう呟けば、頬に伝う私の水。
それは、涙というしょっぱいもの。
「大丈夫ですよ」
「・・・え?」
和さんの声は変わらず震えているけど
なんだか優しい気がする。
「一緒にいられない日数なんて関係ない。
私はただ、貴女といられる時が好きなんです。
一緒にいられれば幸せ。
貴女と、あと、一年でさよならだとしても
私は貴女をキライにもならないし、捨てない。
捨てられそうでも、離さない。
誰を愛して、どう生きるか、私の恋歴史は
私が決めることですから・・・」
そうでしょ?
貴方はそう言った。
体にかかる力が強くて、少し痛い。
でも、嬉しい。
和さんの心臓の音が聞こえてくる。