第14章 誰にでも
「あと・・・一年・・・?」
後ろで、和さんの声がする。
掠れるような、震えた声。
本当は言いたくなかった。
でも、言わなくちゃね。
だって、彼氏さんだったもん。
体が変な私を、大切に想ってくれた
本当に嬉しかった。
やっと目が覚めて、和さんがやってきて
すっごく嬉しくて
だから、ギュッと抱き締めてほしい。
私が守らなかったデートだってしたい。
また、あの夕日や星空を二人で見たい。
でも、叶えられない。
私は和さんを、置いていくんだ。
外は、ビルばっかり。
靴の音がする。
和さん・・・・・・。
「さん」
唇が痛い。
必死に噛んで、涙を止めたいのに、止まらない。
和さんの前では泣きたくないのに
涙が、溢れてくるよ。
私を呼ぶ声も無視して、オレンジ色の外を見る。
すると、体が暖かくなった。
和さんの腕が、私の肩を通って胸の前にくる。
後ろから、和さんの息があたる。