第14章 誰にでも
「あ、あれニノ?」「え、どこどこ?」「キャーーやばっ」「でも、すごい速さで走ってない?」「ついてく?」「もう追い付かないって」
さん・・・起きてて
待ってて・・・もうすぐ着きますよ。
自動ドアに無理やり体を挟んで
エレベーターでは待てず階段を2段飛ばしで
全速で上る。
私、こんなに速く走れましたっけ。
そんなことを考えていれば
あっという間にさんの病室。
乱暴にドアを開ければ
驚いて顔をあげた、さんのお母さんと
可愛い顔して私を見る
さんの姿。
目を覚ましてる。
起き上がって、目を開くどころか見開いて
パジャマ姿でこっちを見てる
私の最愛の人・・・・・・。
「さん!」
「来ちゃダメですっ!!」
私が叫べば、その倍返しで叫ぶさん。
思わず足が止まった。
いって抱きつこうと思って踏み出した足が
止まった。