第15章 骨まで愛して 【妓夫太郎】
美津の遺体は妓夫太郎が湯灌を済ませ美津のお気に入りの着物を着せて長屋へおいた
気位の高い蕨姫が郭主人と男衆に頭を下げお願いをして 美津の遺体は投げ込み寺では無く ちゃんとした寺で供養を受けて荼毘にふされ お墓に入った
そのすべての費用を蕨姫が出し男衆にもそれなりの手当まで出したし寺には多額のお金も別に付けて永代供養までたのんだ
そんな蕨姫に郭の皆が驚いてた
「美津の仕立てをよっぽど気に入っていたんだねぇ」
あの扱いにくい蕨姫が身銭を切ってまで手厚く供養した行為に郭主はそんな事を思っていた
それから何年も月命日には必ず美津の墓には甘味と花が添えられていたが
寺の僧侶達は1度もお参りに来る人は見たことは無かった
ある夜中に吉原で妖怪か鬼が大暴れをして吉原の半分を壊滅的に破壊した事件があり
その月の月命日から美津の墓に添えられる事はなくなった
ー終わりー