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かわいいひと

第2章  また、会いにいきます 【富岡 義勇】





夜明け前に巡回を終えて蝶屋敷に戻った

「今日は月が綺麗ですね」

最近下弦の鬼が騒がしく月を眺める余裕が無かった
結局は質の悪い一部の隊士達のせいで取り逃がまい被害だけを出してしまった

「はぁ…不甲斐ないですね」












「…!」なにか奇妙な気配がする


白み始める空に目を凝らす



目の前に跳んで現れたのは水柱だった




「富岡さん……その人は何ですか?」




富岡が背負い蝶屋敷に担ぎこんだ血まみれの女性は鬼の気配がする

でも鬼なら再生するし富岡が屋敷に連れては来ないはず

現に朝日が差すのに肌がこげる様子もまったくない…でもこの気配は鬼なのだ



「胡蝶!全ての責任は俺がこの命でとる!」


こんなに必死な富岡の顔を見るのは初めてだった


「……分かりました、でも報告はしますから」


「あぁ、構わない」


安心したのか床に腰を下ろし治療を見守っている、かなり長い距離を担ぎ全速力でここに着た事は想像がついた


「富岡さんに水を、そして怪我の治療を」


「必要ないこの血は全部、みづきのだ」



「全部ですか?なら」助からないのでは…とは言えなかった、多分富岡が一番分かっていることだろう

巻かれいた布を取ると背中に爪でえぐられた傷が現れる

色々聞きたいが今は治療に専念することにした
すると富岡の方から珍しくポツリポツリと話だした










奇妙な噂だった


山の奥に女が一人と子供が数人で暮らしている、女は歳をとらず子供は入れ替り立ち替りしている


これだけ聞くと、女は鬼で子供はその鬼の食糧と想像ができる


なので今まで何人もの隊士が調査に行っては、昼間に畑仕事をする彼女を見てまず鬼ではないと判断して終わっていた


富岡の代になり昔の資料を整理しようと読んだ時に発覚する


その奇妙な報告は場所を転々と変えては何度もあり、富岡が調べられた限りでは百年前からだった


そしてまたその噂がとある村で囁かれるようになる


富岡は自分で確認するのが手っ取り早いからと昼間に山奥の家に向かった









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