第1章 歩く姿は… 【不死川 実弥】
「お前は人の気も知らないで…いい匂いもするし…」
顔を赤くした不死川様が見つめてくる
私に向けてくる表情や、握られた手の優しさに私の中で淡く芽生えている気持ちが同じなのではと期待させる
まだ触れている手を少し力を込めて握り返した
「不死川様の手は柔らかいのですね、剣術をされてる人は皆さん豆とかできて固いと思ってました」
「そっ…それはまだ足りねぇんだよ、長く稽古をしてると固くなった後は又柔らかくなる。そうなると刀が手に馴染んでまた強くなれる」
「私はこの手に守られたのですね」
熟れた林檎のように染まった耳がとても可愛く感じて、少しからかいたくなって繋いだ手に頬をよせた
「小波瀬…」
少し声がかすれている
「不死川様…」
そう答えた時には、私の体は不死川様の胸に収まっていた
私の耳元に不死川様のため息がかかり初めての刺激に背中がざわつき思わず不死川様の着物をキュッと掴んでしまった
私の耳に唇をよせて「俺が恐いか?」と聞かれた、体が強張ってしまった事が怯えてると勘違いしているんだ
「いいえ…恐くありません」
「…そうかよかった」
今度は唇を耳に触れさせながらささやかれた
「あっ…あのくすぐったいです」
きっと私の耳も林檎のように真っ赤になってる
「お前は耳が弱いんだな」
くすぐったい意味が違う!
唇が耳から離れて頬に口付けをされた
唇が触れた所から身体中の体温が上がる
「お前が好きだよ」
つないでいた手はいつの間にか私の頬を包みこんでいた
不死川様の顔が近くて見つめてしまう
だんだんと顔が赤くなるのを眺めてると
「小波瀬…俺が恥ずかしいから目を閉じろ」
そっと閉じると触れるだけの柔らかい口付けをされた、もう一度触れてから強く抱きしめられる
不死川様の体が熱い…私も背中に手を回して抱きしめると、同じようにドキドキしてる鼓動が伝わってくる
「よかった私だけドキドキしてるのかと思ってました」
もう一度ギュッとされ
「お前は…俺の事…」
「…好きです」
よかった…と、かすれた声でつぶやかれてしばらく抱きしめあっていた