第1章 歩く姿は… 【不死川 実弥】
しのぶ様にやんわりと注意を受けた三人がしゅんとしてると、三人の頭をなでながら
「大声出して悪かったな、上手いお茶を入れてくれ」
三人を連れて奥へと入っていった
「誰の家だと思ってるのでしょうね」
しのぶ様は背中を見送りながらため息をついた
「あの顔を隊士には向けられないのでしょうか…」
「あの笑顔は三人だけの物ですよ」
「あら、三冬にもしないのですか?」
「笑う事はありますけど、あんな風な笑顔はないです」
あの笑顔が見れて嬉しいです。と言う私を見て、そんな貴女の腑抜けた顔を見るのも久しぶりですねと、笑われてしまった
「まったくあの人は仕方ないですね…」
しのぶ様は、共同で薬の研究をしているので外出するから、後の事はアオイに聞いて下さいと出かけてしまった
アオイさんに今回の薬草の配合と注意点聞いて、薬草を風呂敷に包んだのを玄関で確認していると後ろから不死川様が声をかけてきた
「終わったか?」
「はい、不死川様はもう帰りますか?」
「上手い茶飲んだし、上手そうに食う顔を見たし帰るぞ」
薬草に手を伸ばしアオイさんに
「これで全部か?」と聞いて背中に担いだ
「柱様にそんな事させられません!」
あわてて止めるけど
「いいんだよ暇だから、そのつもりで付いてきたし」
と言うとスタスタ歩いていく、ビックリしてアオイさんと二人で固まってしまう
「小波瀬置いて帰るぞ!」と言われて挨拶もそこそこに蝶屋敷を出た
帰り道では「おはぎを買え」「酒を買え」とちょこちょこと追加の買い物をしつつ、少し上機嫌の不死川様が珍しくて顔がにやけてしまった
屋敷に着くと体が薬草臭いから湯浴みすると言うので準備をと言うと、自分でするから小波瀬は他の事をしろと言われて戸惑ってしまった。そんな私に気付いて
「お前が来るまでは全部自分でしてたんだ気にするな」
「飯は18時くらいでいい、それまでは寝るから準備ができたら起こしてくれ」
さっさとお風呂の準備をしに行ってしまった
まだ夕食の準備までは3時間はあるので薬草の整理でもしようかな
今回は薬草の種類も量も多く、自室だと寝る場所も無くなるので、道場を使っていいと薬草を運んでくれていた