第29章 全ての真実を愛したい〖伊黒小芭内〗⚠R18
「なぜ逃げるんだ神雛」
体が一気に硬直した
なんで…なんで追いかけてくるの…
涙が止まらない
「優しく…しないでください…」
「神雛?本当にどうしたんだ」
伊黒さんは心配そうな顔で
ずっと見つめてくる
「…離してください」
「離さない」
「……」
「なにか勘違いをしているのなら俺は離さない」
真っ直ぐ見つめる力強い瞳
「勘違いさせたあなたのせいです」
泣きながら、もう当てつけだ
「あなたが私に優しくするから…私はあなたを好いてしまいました…でもあなたが好きなのは甘露寺さん…もう私は…苦しいんです…私に近づかないで…」
酷いことを言ったのに
伊黒は、そっと抱きしめる
嫌っと体を離そうとするが
ぎゅっと抱きしめてくる
「誰がそんなことを言ったんだ。
俺は甘露寺のことは好いていない」
「え…」
「好いているのは、お前…神雛だ」
訳も分からず頭はパニック
「だって…昼間も楽しそうに話してましたし…体を触れ合っていました…」
「どんな勘違いだ…」
ハァ…とため息を着く伊黒に
また涙が溢れる
「泣くな、神雛の泣き顔は見たくない」
そっと手で涙を拭う
真っ直ぐ私を見つめ再び
「俺が愛しているのは神雛
一生共にしてくれないか?」
こんな形で言うはずじゃなかったんだが
と優しく囁く伊黒さん
「うぅ…ごめんなさい…私勘違いを…
よろしくお願いします」
泣いているのか笑顔なのか
分からない表情に伊黒は少し
困った顔をする
「神雛には笑顔が1番に合う、笑ってくれないか?」
「はいっ」
気づくと涙が止まり
嬉しさに笑顔になっていた