第4章 霞
吹く風は木ノ葉を乗せ、雪華の長い綺麗な黒髪を揺らしている。
この風が今の気持ちや直視できない現実を乗せていってくれたらいいのに、と雪華は思う。
カカシ「気持ちの整理か」
気配で気が付いていたけど、カカシから逃げようとかは思わなかった雪華。
雪華「いいえ…もう、全部が嫌になったので…ここから見れる景色をしっかりと見ておこうと。」
カカシ「・・・本気か?」
雪華「はい。・・・彼との約束を守れなかった。」
カカシ「だからか?」
雪華「はい…償い、ですかね。サスケを守れず何もできなかったことに対しての」
カカシ「償いなんかじゃない。それは…逃げだぞ。」
雪華「!」
こういう時は気の利いた言葉を掛けて慰めてやるのがいいのだろうが、雪華に今は優しさが甘えとなってしまう。カカシはこれまでの経験からか、自己の後悔からか厳しさを与えて前へ進むことを教えないといけない。
カカシ「ナルトがあんなに傷ついて、サクラが涙をながして、そしてサスケが帰ってくることを信じて、連れ帰る事を心に刻んで今前に進もうとしている。お前は年下のあの二人からも逃げるのか?・・・イタチから、逃げるのか?」
雪華「…逃げ…」
ライバルとして友として、サスケに向き合ってくれたナルトは自分がどんなになってもサスケを連れ帰ろうとしてくれた。サクラはずっと、裏切られても想ってくれている。雪華は、「私はどうだろう」と心に問う。目の前の現実からただただ逃げようとしている。イタチから託された思いを、繋げなければいけない、雪華はサスケを忘れてはいけない。
雪華「‥‥」
カカシ「!(目つきが変わったね…)今から綱手様と自来也様が話されることをお前もしっかりと聞いておけ。一緒に来い」
雪華「はい!」
お二人の話はこうだ。
まずサスケに関しては命が危ないということはこの先三年はない。それ以降は何とも言えないという事も理解せねばならない。そして、ナルトが二年の修行へと出ることが決まった。サクラも綱手様の元で修行をするという事も。
私はカカシさんにまた修行をつけてもらい、医療忍術だけでなく対人戦が出来るよう強くなろうと決めた。
いつか、帰ってきてほしい二人を次こそ守れるように。