第6章 身だしなみは誰かの為に
「解くけどいいか?」
その言葉に頷けば、
腰紐がシュルシュルと音を立てた。
前見頃を開き、
衿が抜かれ、
肩を抜かれ、
裾を引かれる。
はらりと木綿の着物が床に落ちると、
長襦袢一枚の私の姿に首を傾げる御手杵様。
「これだけか?」
「これしか無かったので…」
誰に聞いたわけでもないけれど、
なんとなく、この長襦袢は下着といった認識だった。
だから、肌の上から直接、着物の下に来ていた。
勿論、ブラやショーツといった私が以前身につけていた馴染みのある下着類は用意されて無かったので、身につけてはいない。
何か足りなかっただろうか?
やはり違ったのだろうか?
「はぁーっ。主はなぁ…。わかってんだか、わかってないんだかなぁ…」
ため息を溢しながらガシガシ頭を掻く仕草を眺めていると、
呆れた顔で斜め下に目線を落としていた御手杵様がこちらを向いた。
ふと、鋭い目付きの彼と眼が…合う。