第2章 本丸
「彩?大丈夫か?」
先程から頭を撫で続ける審神者様が、私に問いかける。
ハジメテのあの時とは違う、優しく丁寧な手つきだ。
未だ息は上がったままだが、コクコクと頷いた。
「うちの男士達に乱暴されたか?何かされたか?」
「い、いいえ。大丈夫…です」
そりゃ、手荒い方も居たけれど、手を挙げられたりした事などはない。
「そっか、なら良かった。彩に無体を働いたら解刀だと言ってある」
「…解刀?」
その言葉の意味がわからず、私は首を傾げた。
この本丸にはわからない事だらけだ。
歴史?しゅうせいしゅぎしゃ?
時間?さ?そ?こうぐん?
けびいし?
耳から入ってくるだけの言葉なのでこの言葉が合っているのかも、その意味もわからないけれど、そんな言葉が日々飛び交っている。
「解刀は処分するって事だよ。それにしても、すっかり慣らされちゃって。誰か気に入った奴とか居ない?なぁ、こう仕込んだのはどの刀?誰とどんな事したのか、一人ずつ話してみ?」
「話す…んですか?」
「そう、これからの生活に関わる大事な事なんだよ。ほら、話してみ?」
促されるまま、私はこの1ヶ月の出来事をポツリポツリと口にする。