第7章 蝶々結びの秘め事 / 秀吉END
『こうするのが自然かなって思って』
────あの、ずぶ濡れになった日
浴衣姿のお前がやたら艶っぽく見えて。
濡れた髪や、少し寒そうに震える肌も…
お前の『女』の部分を見た気がして、やたら落ち着かなかった。
そして───………
お前の中に、俺と同じ思いを見つけてしまったから。
少し潤んだ瞳で見つめるお前。
俺を『男』として見てる。
愛しくて、どうしても触れたくて。
それが堪えきれなくなって……
『ごめんな?……止まらねぇ』
俺は欲望のままに、お前を抱いた。
罪悪感は残った、けれど……
それ以上に、お前を繋ぎ止めたかった。
もう、俺にはあまり時間がない。
こうする事で、俺を好きになってくれたら。
そうすれば、何か変わるかなって。
そんな淡い希望を抱いて、止まらなかった。
────でも、情けねぇよな
『お前は俺にだけ溺れてろ。余計な事考えないように…もっと蕩かしてやる』
逃げないお前に、酷い嫉妬をぶつけた。
俺だけを見てろ、俺を見ろよと。
俺のものでも、なんでもないお前に……
たくさん、歪んた愛情を注いだ。
俺は言えなかった。
『好きだ』も『愛してる』も。
お前も同じ気持ちでいなければ……
俺はその『現実』を覆す事は出来ない。
だったら、躰だけの関係でもいいから、
お前を…一瞬でも俺のものにしたかった。
俺が、
別の誰かのものになる前に。
しとしとしと。
今日も外は、雨が降る。
全てを覆い隠すような雨が。
美依、
俺はお前にとって、どんな存在だ?
ただの兄貴か、
快楽のためだけの男か、
それとも───………
『────秀吉さん』
少しは、俺の事、
想っていてくれるのか……?