第5章 【誕生記念】Sugar HONEY-金平糖の罠- / ◆
「やっ…秀、吉、さっ…ぁあっ!」
「美依…もっと、美依……っ」
今日、真昼間から蔵に閉じ込められた俺達は。
『偽りの兄と妹』の関係を捨て、想いを交わし合った。
熱い肌を隙間なく重ね合って。
何度も高い頂点を見ては、また口づけ合う。
淫らで、でも幸せな時間は、瞬く間に過ぎていき……
美依がぷっつり意識を飛ばした後、俺も寄り添って浅い眠りに落ちた。
でも、その時はすっかり忘れていた。
『こまめに様子を見に来てやる』と言った政宗の言葉を。
それって、つまり。
蜜事の様子を伺っているという意味で。
普段は誰も寄らない蔵だとしても、
俺達の行為は筒抜けだったわけで───………
*****
────がちゃっ!
(ん………?)
眠る美依の髪を優しく梳いてやっていると、扉の方から音が聞こえた。
視線をそちらに向けてみれば……
薄ーく扉が開いているのが解って。
あ、鍵が開いた。
それを認識し、俺は美依を起こさないようにそっと身体を起こすと、脱ぎ散らかした着物を軽く羽織って扉に向かった。
ゆっくり扉を開けてみれば……
そこには不敵な笑みを浮かべた白銀頭と、これまた珍しく薄く笑いを浮かべた金髪頭が居て。
俺ははぁ…と大きなため息をつくと、そいつらの名前を掠れた声で呼んだ。
「光秀、家康……」
「どうだった、誕生日の贈り物は?」
「どうだったじゃねぇ、なんだあの金平糖は」
「……あれは、俺が仕込んだんですよ、秀吉さん」
「家康が?」
「言っときますが、今回の事は発案者は信長様なんで」
家康の話を聞いてみれば……
媚薬の成分を混ぜ込んだ金平糖は、わざわざ今日の為に家康監修の元、菓子職人に作らせたのだとか。
そして、この『通じ合わなければ出られない蔵』を思いついたのは信長様で。
いつまで経ってもくっつかない俺達に、痺れを切らしていたらしい。
(……信長様が考えたんじゃ文句も言えねぇ)
相変わらず突拍子もない事を考える御方だ。
まぁ、美依と通じ会えたのは感謝しなければならないけれど。