• テキストサイズ

〖イケメン戦国〗翡翠色の向日葵《豊臣秀吉短編集》

第10章 【誕生記念】滄海と花明かりの煌 / ◆&♥




刺激はすぐさま体中を走る。
美依がまだ熱を帯びているように、俺自身も完全に鎮まったわけでもなく。

だが、まさか続きをしようなど言える訳もない。
気を失って、大して時は経っていないけれど……
それでも、今は美依を休ませてやらねば。
気持ちを抑えて頬を撫でていれば、美依は何だか潤んだ煽情的な目で見つめてきた。



「あー…気分は悪くないか?」

「う、うん、大丈夫」

「そっか、ならいい」

「……っ」



(ぎこちない会話しかできねえ…まずい)

自制心はある方だが、それは日常での話だ。
美依を目の前にすると、それは容易く崩れてしまうのも自覚がある。
今までそこそこに楽しい恋もしてきて、それこそ情を交わした事がない訳じゃないのに……
美依を目の前にすると、堪えられない。
こうして頬に触れているだけで痺れてくる。

そんな風に思っていると、美依が俺の目元に触れ、なんだか愛らしく笑った。



「ねえ、秀吉さん…知ってる?人って興奮するとたくさんの血が体に巡って、それが瞳に現れるんだって」

「そ、そうなのか?」

「瞳の中にもたくさん血が巡るから、目の色が鮮やかになるんだよ。秀吉さん…今、すごい明るい茶になってる」

「っ……」

「誤魔化したって、だーめ」



すると、美依がふわりと首に腕を巻き付けてくる。
瞬時に温もりが移って、一気に高ぶる感情が急上昇した。
そのまま美依が耳元で囁く。
甘く優しく、可愛い声で。



「秀吉さん、お誕生日おめでとう」

「美依……」

「私を貰ってくれないかな。出来れば、この先ずっとずっと」

「……っ」

「私……もっと、秀吉さんに愛されたいよ」



(……本当に、お前には敵わないな)



どんな俺でも受け入れてくれるお前。
くだらなかった俺自身を認め、生きる価値をくれた愛しい恋人。
そんなお前には…我慢も隠し事も通用しないらしい。
だから、お前には負けるよ。
きっと今もこれからも、ずーっと先の未来も…
俺がお前を愛する限り、お前に敵う日は来ない。

それって、未来永劫…一生って意味だな。

思わず苦笑いをしたら、美依も可愛く笑んだ。
触れている温もりが愛しくて……
俺はその小さな体を、両腕で包み込んだ。




/ 141ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp